2021年12月の全国企業倒産504件
ブログ
2022.02.03
ピックアップ
テーマ:
2021年12月の全国企業倒産504件
12月の倒産は32年ぶりの低水準、コロナ関連倒産は143件発生
2021年12月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が504件(前年同月比9.6%減)、負債総額が931億8,100万円(同32.7%減)だった。
件数は、2021年6月から7カ月連続で前年同月を下回った。12月としては2年連続で500件台にとどまり、1989年(493件)以来、32年ぶりの低水準となった。
負債総額は、2カ月連続で前年同月を下回った。負債1億円以上5億円未満が111件(前年同月100件)と増加し、同100億円以上も前年同月と同件数の2件発生した。だが、最大の倒産は蓄電池販売ほかのD-PROX(株)(東京、破産、負債177億円)で、前年同月の(株)ダイヤメット(新潟、民事再生法、負債577億9,000万円)の反動が大きかった。12月としては3年ぶりに1,000億円を下回り、1972年以降では2018年の817億9,200万円に次ぐ、3番目の低水準となった。負債1億円未満は369件(構成比73.2%)で、依然として小・零細企業を主体に推移している。
12月の「新型コロナウイルス」関連倒産は143件(前年同月比52.1%増、前年同月94件)で、集計を開始した2020年2月からの累計は2,467件に達した。
- 「人手不足」関連倒産のうち、「後継者難」が31件(前年同月32件)
- 形態別件数:破産が444件。法的倒産の構成比、19カ月連続で90%台
- 都道府県別件数:前年同月を上回ったのが18府県、減少24都府県、同数5道県
- 負債別件数:負債1億円未満の構成比が73.2%、4カ月連続で100億円以上が発生
- 業種別件数:道路貨物運送業、繊維工業、飲食業などが増加
- 従業員数別件数:10人未満の構成比が88.4%、300人以上は12カ月連続でゼロ
- 中小企業倒産件数(中小企業基本法に基づく)は504件で、5カ月連続で100.0%
産業別 10産業のうち8産業で前年同月を下回る
2021年12月の産業別は、10産業のうち、建設業と運輸業を除く8産業で減少した。
最多はサービス業他の159件(前年同月比5.3%減)で、7カ月連続で前年同月を下回った。ただ、コロナ禍で動向が注目される飲食業は52件(同4.0%増)と増加した。
そのほか、製造業58件(同13.4%減)は、2020年5月以降、20カ月連続で前年同月を下回った。また、小売業54件(同32.5%減)、情報通信業15件(同31.8%減)は7カ月連続、不動産業14件(同26.3%減)は3カ月ぶり、農・林・漁・鉱業4件(同55.5%減)、卸売業68件(同4.2%減)、金融・保険業1件(前年同月2件)は2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。
一方、建設業109件(前年同月比6.8%増)は3カ月ぶり、運輸業22件(同22.2%増)は2カ月連続で、それぞれ前年同月を上回った。建設業は9月以来、今年3度目の100件台に乗せ、運輸業は4カ月連続で20件台となり、それぞれ今年最多の件数となった。
地区別 倒産件数増加は中部、四国の2地区
2021年12月の地区別の倒産件数は、9地区のうち、2地区で増加した。
中部69件(前年同月比2.9%増)は3カ月ぶり、四国8件(同14.2%増)は4カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
一方、減少は4地区。関東195件(同18.4%減)、近畿133件(同4.3%減)は7カ月連続で、前年同月を下回った。また、九州38件(同13.6%減)は2カ月連続、東北19件(同5.0%減)は2カ月ぶりに、それぞれ減少した。
前年同月と同件数は、北海道7件、北陸12件、中国23件の3地区だった。
※地区の範囲は以下に定義している。
- 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
- 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
- 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
- 北陸(富山、石川、福井)
- 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
- 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
- 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
- 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)
当月の主な倒産
[負債額上位5社]
- D-PROX(株)/東京都/蓄電池販売ほか/177億円/破産
- (株)セントラル/岩手県/建設機械リースほか/125億4,500万円/民事再生法
- MESシッピング(株)/東京都/船舶用機器卸ほか/66億200万円/特別清算
- (株)亜細亜管財/東京都/持株会社/50億円/特別清算
- (株)エフエルシー/山口県/食肉卸/18億円/破産
東京商工リサーチより