人手不足倒産はこれからが本番
ブログ
2020.01.16
ピックアップ
テーマ:
人手不足倒産はこれからが本番
年明けの1月9日、我が国を代表する信用調査会社2社が同時に記事を公表しましたが、どちらも2019年の人手不足倒産が最多を更新したことを告げるものでした。ここでは、帝国データバンクの記事に沿ってその要旨を見てみますと、次のとおりです。
-2019年の人手不足倒産は、4年連続過去最高となりました。
-2019年を業種別に見ると、サービス業、建設業、運輸・通信業、小売業、卸売業の順。
-2013年以来の累計を業種細分類で見ると、道路貨物運送、木造建築工事、老人福祉事業、受注開発ソフトウェア、労働者派遣の順。
-以上のことから、建築職人、ドライバー、IT 技術者、介護スタッフなど、専門職の定着や確保が困難になった小規模企業に厳しい状況が見られるということです。
よくいわれるように生産年齢人口はすでに急激な減少局面に入っています。2013年は7,901万人でしたが、2018年は7,545万人(いずれも10月1日現在)と356万人も減少し、この先も減少が続くと見込まれます。しかし、見逃しがちですが、いまのところ、女性と高齢者のための働く環境整備の進捗により、労働力人口は2013年以来むしろ増加(2018年までの6年間で265万人増加)しており、これにより総枠的には人手不足が一定緩和されています。これからも、女性の活躍推進と高齢者の70歳までの就業拡大等働く環境整備を図り、労働力率の向上を進めていくことが課題です。
しかし、今後、労働力不足は一層の加速が避けられません。昨年3月に、パーソル総合研究所が中央大学経済学部の阿部正浩教授とともに行った2030年時点での人手不足推計によると、2030年には644万人の人手が不足し、産業別には「サービス」で400万人、「医療・福祉」で187万人、「卸・小売」で60万人等の不足、職業別には「専門的・技術的職業従事者」で212万人、「事務従事者」で167万人、「運搬・清掃・放送等従事者」で90万人等の不足が予測されるとされています。また、地域別にもアンバランスが生じ、「東京都」で133万人、「神奈川県」で54万人、「千葉県」と「愛知県」で36万人等の不足が予測されます。こうした問題に対処するためには、女性と高齢者の労働参画の促進に加えて、労働生産性の向上、外国人材の受入れ拡大なども必要になってきます。(民紹協より)