自己破産したら何を失う?残せる財産と失う財産を一覧でわかりやすく解説
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2026.09.25
自己破産残せる財産
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自己破産したら何を失う?残せる財産と失う財産を一覧でわかりやすく解説
「自己破産をしたら、家も車も貯金も、何もかも失ってしまうのではないか」。
そんな不安を抱えて、この記事にたどり着いた方は少なくないはずです。
結論から言えば、自己破産で失うものは、多くの人が想像するほど広くありません。
法律は、破産する人がその後の生活を立て直せるよう、一定の財産を手元に残す仕組みを用意しています。
本記事では、公的機関や法令の一次情報をもとに、失う財産・残せる財産・信用や職業への影響を一覧で整理し、具体的に解説します。
【結論】自己破産で「全財産を失う」は誤解|残せる財産がある
自己破産をしても、生活に必要な最低限の財産は手元に残せます。
「全財産を失う」というイメージは、多くの場合、誤解です。
法テラス(日本司法支援センター)も、自己破産の主なデメリットとして「生活に必要な家財道具等の一部を除き財産が処分される」と説明しており、家財道具のすべてを失うわけではないことを明示しています(出典:法テラス)。
つまり、処分の対象となるのは一定額を超える高額な財産に限られます。
日々の生活に欠かせない衣服や寝具、家具などは残せる仕組みです。
まずは「限定的にしか失わない」という全体像をつかむことが、正しい判断への第一歩です。
この章のまとめ
・全財産を失うというイメージは誤解である
・生活に必要な家財道具の一部は手元に残せる
・処分対象は一定額を超える高額財産に限られる
そもそも自己破産とは?失うもの以上に「借金がゼロになる」制度
自己破産は、財産を失うためではなく、返済不能に陥った借金をゼロにして生活を立て直すための制度です。
裁判所から免責許可決定を受けると、税金など一部の支払いを除き、借金の支払い義務が免除されます。この仕組みを「免責」といいます。
自己破産に至る理由は、決して特別なものではありません。
日本弁護士連合会の調査によると、破産の主な理由の1位は「生活苦・低所得」で65.86%を占め、1997年の調査開始以降で最大値となりました(出典:日本弁護士連合会「2023年破産事件及び個人再生事件記録調査」)。
浪費が原因という内容は、データが否定しています。
失うものより、得られる再スタートに目を向けることが大切です。
破産の理由の6割超が「生活苦」というデータは、多くの方の不安を和らげてくれるはずです。
この章のまとめ
・自己破産は借金の支払い義務を免除する制度である
・破産理由の1位は「生活苦・低所得」で6割超を占める
・制度の本質は財産喪失ではなく生活の再建にある
この章でわかること
・そもそも自己破産とは?失うもの以上に「借金がゼロになる」制度
自己破産で失う財産|処分される6つのもの
自己破産で処分される財産は、生活の再建に不要な、一定額を超える高額な資産に限られます。
具体的には、次の6つが代表的な処分対象です。
これらは売却などによって現金化され、債権者への支払いに充てられます。
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失う財産 |
具体例・目安 |
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現金 |
99万円を超える部分 |
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預貯金 |
残高が一定額を超える場合 |
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不動産 |
持ち家・土地などの高額資産 |
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自動車 |
時価20万円を超える車両 |
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生命保険 |
解約返戻金が一定額を超えるもの |
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退職金 |
見込額の一部(原則8分の1相当額など) |
破産法34条1項は、自己破産の手続きが始まった時点で本人が持っている財産は、原則として処分の対象になると定められています (出典:e-Gov法令検索 破産法)。
ただし後述する自由財産は例外です。
持ち家がある場合は、換価が必要なため「管財事件」となりやすく、手続きの種類が変わる点も押さえておきましょう。
この章のまとめ
・処分対象は一定額を超える高額な財産に限られる
・現金・預貯金・不動産・車・保険・退職金が代表例
・持ち家があると管財事件になりやすい
「20万円」が処分の目安ライン|保険・車・退職金の判定基準
処分対象を判断する目安として、多くの裁判所で「20万円」というラインが用いられます。
自動車や生命保険の解約返戻金など、個別の財産ごとに時価が20万円を超えるかどうかで、換価するかを判断する運用です。
たとえば時価が20万円以下の自動車であれば、手元に残せる可能性が高くなります。
一方で、退職金は将来受け取る性質があるため、扱いが異なります。
すでに退職している場合は受給額の一部、在職中の場合は見込額のさらに一部だけが処分対象とされるのが一般的です。
この「20万円」は、次章で解説する現金の「99万円」とは別の基準です。両者を混同する人が非常に多いため、注意が必要です。
20万円は個別財産の目安、99万円は現金に関する基準、と分けて理解しましょう。
「20万円」と「99万円」は混同しやすいので、しっかり分けて覚えておきたいですね。
この章のまとめ
・20万円は個別財産を換価するかの目安ライン
・時価20万円以下の車は残せる可能性がある
・退職金は見込額の一部のみが処分対象になる
この章でわかること
・「20万円」が処分の目安ライン|保険・車・退職金の判定基準
自己破産でも失わない財産|「自由財産」で守られるもの
自己破産をしても、生活に必要な一定の財産は手元に残すことができます。こうした財産を「自由財産」と呼びます。
生活の再建に不可欠な財産まで奪えば、制度の趣旨に反するためです。
法テラス(日本司法支援センター)も、生活に必要な家財道具等の一部は残せると説明しています(出典:法テラス)。
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残せる財産(自由財産) |
内容 |
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99万円以下の現金 |
法律で定められた範囲の現金 |
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差押禁止財産 |
生活に必要な衣服・寝具・家具・台所用具など |
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新得財産 |
破産手続開始決定後に得た財産 |
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自由財産の拡張が認められた財産 |
裁判所が個別に認めたもの |
年金を受け取る権利も、自由財産として保護されます。
国民年金や厚生年金は差押えが禁止されており、自己破産によって受給資格を失うことはありません。
差押禁止財産は民事執行法131条に列挙されており、これらは破産法34条3項2号により破産財団に属さないとされています(出典:e-Gov法令検索 民事執行法)。
この章のまとめ
・手元に残せる財産を「自由財産」と呼ぶ
・99万円以下の現金や生活必需品は残せる
・年金の受給権は差押禁止で保護される
なぜ「99万円」なの?法律で決まった根拠
「99万円」という金額は、感覚的に決まったものではなく、法律に基づく明確な計算式から導かれています。
破産法34条3項1号は、民事執行法131条3号に規定する額に2分の3を乗じた額の金銭を、破産財団に属しない自由財産と定めています(出典:e-Gov法令検索 破産法)。
その計算の起点となるのが、標準的な世帯の2か月間の必要生計費として定められた66万円です。
この66万円に1.5倍(2分の3)を乗じると、99万円という金額が算出されます。
以前は自由財産の範囲は21万円でしたが、平成17年の破産法改正で99万円まで拡張されました。
この経緯からも、破産後の生活を守ろうとする法の意図が読み取れます。
数字の根拠を知れば、「本当に残せるのか」という不安も和らぐはずです。
この章のまとめ
・99万円は法律の計算式から導かれた金額である
・差押禁止額66万円に1.5倍を乗じて算出される
・平成17年改正で21万円から99万円へ拡張された
この章でわかること
・なぜ「99万円」なの?法律で決まった残せる現金の根拠
財産以外に失う・制限されるもの|信用・職業・官報
自己破産で影響を受けるのは、財産だけではありません。
信用情報への登録、一部の職業・資格の制限、官報への掲載という3つの制約があります。
ただし、これらはいずれも一時的なものであり、生涯続くわけではありません。
まず信用情報については、いわゆるブラックリストに登録され、一定期間は新たな借入やクレジットカードの利用が難しくなります。
次に、破産手続開始から復権までの間、一部の職業に就けない制限が生じます。
そして官報という国の機関紙に、破産手続開始の事実が掲載されます。
ただし官報を日常的に確認する一般の人はほとんどいないため、これによって周囲に知られる可能性は低いのが実情です。
順に詳しく見ていきましょう。
この章のまとめ
・信用情報・職業・官報の3つに制約が生じる
・いずれも一時的で生涯続くものではない
・官報から周囲に知られる可能性は低い
ブラックリストは何年で消える?信用情報3機関の登録期間
「破産すると一生ローンが組めない」という話は、古い情報です。
信用情報は一定期間で消え、その後は再びローンやクレジットカードの利用が可能になります。
日本には信用情報機関が3つあり、それぞれ登録期間が異なります。
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信用情報機関 |
破産情報の登録期間 |
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CIC |
契約終了から5年間(官報情報は2009年4月以降不保有) |
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JICC |
契約終了後5年間 |
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KSC(全国銀行協会) |
官報情報を最長7年間 |
注目すべきは、KSCの登録期間の短縮です。
全国銀行個人信用情報センターを運営する全国銀行協会は、官報情報の登録期間を、2022年11月に従来の10年から7年へ短縮しました(出典:全国銀行協会)。
「10年間ローンが組めない」という情報は、この改定以前のものです。
いずれの機関も、期間経過後は自動的に情報が削除されます。
「一生ローンが組めない」は誤解。5〜7年で情報は消えるので、再スタートは十分可能です。
この章のまとめ
・信用情報は一定期間で消え、生涯残るわけではない
・CIC・JICCは5年、KSCは最長7年で削除される
・KSCは2022年11月に10年から7年へ短縮された
制限される職業・される「されない職業」|資格は復権で戻る
自己破産の手続き中は、一部の職業や資格に制限がかかります。
ただし、これは「資格の剥奪」ではなく、一時的な就業制限です。
制限を受けるのは、他人の財産を扱う職業や、公正さが求められる士業などが中心です。
制限される代表例は、宅地建物取引士(宅建業法18条1項2号)、警備員(警備業法3条1項1号)、生命保険募集人(保険業法297条1項1号)、弁護士(弁護士法7条4号)などです(出典:e-Gov法令検索 警備業法)。
一方で、医師・看護師・薬剤師のように、人の生命や身体に関わる資格は制限の対象外です。
重要なのは、これらの制限が永久ではない点です。
破産法255条・256条に基づき、免責許可決定が確定するなどして「復権」を得れば、制限は消滅します(出典:e-Gov法令検索 破産法)。
この章のまとめ
・職業制限は一時的で資格の剥奪ではない
・宅建士・警備員・士業などが制限対象になる
・復権を得れば制限は消滅し、元の職に戻れる
この章でわかること
・ブラックリストは何年で消える?信用情報3機関の登録期間
・制限される職業・される「されない職業」|資格は復権で戻る
家族・仕事はどうなる?よくある誤解を見直し
「家族の財産まで失うのではないか」 」「仕事を辞めなければならないのではないか 」という不安は、多くが誤解です。
自己破産は、あくまで本人個人の手続きだからです。
まず家族への影響について、処分されるのは本人名義の財産のみです。
配偶者や子どもが所有する財産は、原則として自己破産による処分の対象にはなりません。
ただし、共有名義の不動産などは、実務上、全体が売却されるケースもあるため注意が必要です。
また、自己破産した事実が、本人や家族の戸籍・住民票に記載されることはありません。
仕事については、自己破産を理由とする解雇は不当解雇にあたり、原則として認められません。
破産の事実が勤務先に自動的に通知されることもないため、多くの場合、会社に知られずに手続きを進められます。
「人生が終わる」「選挙権を失う」「年金がもらえなくなる」といった話も、すべて事実ではありません。
「家族に迷惑が…」という不安は、正しい知識でかなり解消できます。まずは事実を知ることが大切です。
この章のまとめ
・処分されるのは本人名義の財産のみである
・破産を理由とする解雇は原則として認められない
・選挙権や年金受給資格を失うことはない
財産を残したいなら?任意整理・個人再生との比較
「どうしても家や車を残したい」という場合は、自己破産以外の債務整理も選択肢になります。
債務整理には主に3つの方法があり、財産への影響や借金の減額幅がそれぞれ異なります。
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手続き |
財産の扱い |
借金の減り方 |
向いている人 |
|
任意整理 |
財産を残せる |
利息のカット中心 |
財産を維持しつつ返済したい人 |
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個人再生 |
住宅を残せる可能性あり |
大幅に減額 |
家を残しつつ借金を圧縮したい人 |
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自己破産 |
高額財産は処分される |
ゼロになる |
返済が困難で再スタートしたい人 |
生活への影響は「任意整理<個人再生<自己破産」の順に大きくなります。
特に個人再生には「住宅資金特別条項」があり、住宅ローンを払い続けることで持ち家を残せる可能性があります。
ただし、いずれの手続きが最適かは、借金額・収入・財産状況によって変わります。
この章のまとめ
・任意整理・個人再生は財産を残せる可能性がある
・個人再生は住宅資金特別条項で家を残せる場合がある
・最適な手続きは個々の状況によって異なる
よくある質問(FAQ)
読者から多く寄せられる、個別ケースの疑問にお答えします。
年金はどうなりますか?
国民年金や厚生年金の受給権は差押えが禁止されており、自己破産で失うことはありません。
将来の受給資格にも影響しません。
スマホは使えなくなりますか?
端末代金の分割払いが完済済みで、利用料金の滞納がなければ、原則としてそのまま使い続けられます。
端末代金が未払いの場合は、その債務も自己破産の対象となる点に注意が必要です。
賃貸住宅に住み続けられますか?
家賃を滞納していなければ、原則として住み続けられます。
自己破産を理由に賃貸契約を解除されることは、基本的にありません。
借金はすべてゼロになりますか?
免責が認められれば、多くの借金の支払い義務が免除されます。
ただし税金・社会保険料・養育費などの非免責債権は、対象外です。
共有名義の家はどうなりますか?
理論上は本人の持分のみが対象ですが、実務では配偶者の持分を含め全体が売却されるケースもあります。
この章のまとめ
・年金の受給権や賃貸契約は原則として影響を受けない
・スマホは分割完済・滞納なしなら使い続けられる
・税金など一部の債務は免責の対象外である
まとめ:自己破産で失うものは限定的|生活再建のための制度
自己破産をしても、すべての財産を失うわけではありません。
本記事の要点を整理します。
・自己破産で「全財産を失う」は誤解で、生活に必要な財産は残せる
・処分対象は現金99万円超・預貯金・不動産・車・保険・退職金などの高額財産に限られる
・99万円以下の現金や生活必需品、年金受給権は「自由財産」として守られる
・信用情報はCIC・JICCで5年、KSCで最長7年(2022年に10年から短縮)で消える
・職業制限は一時的で、復権を得れば元の職に戻れる
・家族名義の財産は処分されず、破産を理由とする解雇も原則認められない
自己破産は、人生を終わらせる制度ではなく、生活を立て直すための制度です。
日本弁護士連合会の調査でも、破産理由の多くは生活苦であり、決して特別なことではありません(出典:日本弁護士連合会「2023年破産事件及び個人再生事件記録調査」)。
一人で不安を抱え込むより、まずは正確な情報をもとに次の一歩を踏み出すことが大切です。
当社は経済産業大臣認定の経営革新等支援機関として、資金調達や事業再生の相談に全国対応で応じてきた実績があります。
財産や事業の状況に応じた選択肢を一緒に考えたい方は、お気軽にご相談ください。
不安を一人で抱え込まず、まずは正確な情報から。次の一歩を一緒に考えていきましょう。
監修者:株式会社FGグループ代表取締役 吉野兼司 NPO首都圏事業支援機構 理事 吉野兼司