「会社が倒産したら、社長の私も自己破産するしかないのか」

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2026.10.13

経営者ガイドライン

テーマ:

「会社が倒産したら、社長の私も自己破産するしかないのか」

「会社が倒産したら、社長の私も自己破産するしかないのか」「自己破産したら全財産を失って再起も不可能なのか」と不安を抱える経営者は少なくありません。

しかし、自己破産した場合の影響は 、「会社(法人)」と「社長個人」を分けて考える必要があります。会社が破産しても、社長が連帯保証をしていなければ、社長個人に返済義務は及びません。破産=終わりではなく、一定の財産を手元に残せる場合もあり、再起業も可能です 。

本記事では、会社の破産と社長個人の自己破産の違い、連帯保証が破産連鎖を生む仕組み、残せる財産と自己破産後も支払い義務が残る債務 経営者保証ガイドラインとの比較、破産後の再起業までを、公的な一次情報をもとに解説します。

結論:自己破産したら「会社」と「社長個人」は別々に考える

自己破産の影響は、対象が「法人」か「個人」かで大きく異なります。

まず記事全体の答えを一覧で確認してください。

論点

会社(法人)の破産

社長個人の自己破産

法人格

破産手続により清算される 

個人は存続

借金の返済

法人の財産から債権者への配当等が行われる 

免責が許可されれば、原則として支払義務が免除される 

社長への波及

連帯保証がなければ及ばない

―

残せる財産

―

99万円以下の現金など一定の自由財産 

消えない支払い

税金・従業員給与など

税金・養育費など

再起

新会社設立・再融資が可能

再起業は可能 

 

よくある誤解は「会社が破産すれば経営者個人も自動的に自己破産する」という思い込みです。

会社と経営者個人は法律上別であり 、重要なのは個人保証の有無です。

2025年度の企業倒産のうち、破産は90.5%を占めており出典:東京商工リサーチ)、経営者にとって正確な事実の切り分けが最初の一歩となります。

自己破産の結末は「会社」と「社長個人」に分けて考えましょう。

会社の破産と社長個人の自己破産は法律上別に扱われる 

会社と社長は、法律上別の主体 として扱われます。

 

比較項目

法人(会社)

経営者(個人)

権利義務の主体

会社そのもの

経営者個人

会社の債務

会社が負う

原則、負わない

破産の申立

法人として申し立てる

個人として申し立てる

財産の扱い

会社財産を清算

個人財産は別管理

 

つまり、会社名義の借入は原則として会社の債務です。

社長個人が返済を求められるのは、社長が連帯保証人になっている場合に限られます。

会社の破産と社長個人の破産は、それぞれ別の判断・別の手続きとして進みます。

連帯保証がなければ社長は会社の借金を返済する義務は原則ない 

会社の借金を最終的に誰が払うのかは、連帯保証の有無で異なります。

 

状況

会社の借金の行方

社長個人の義務

社長が連帯保証なし

会社の破産手続きで処理 

なし

社長が連帯保証あり

保証人に請求される 

保証した範囲で返済義務 

第三者が保証人

保証人へ請求

保証人の範囲で

 

連帯保証をしていなければ、会社が破産しても社長個人が会社の借金を返済する義務は原則ありません 。

実際、破産理由に占める「保証債務」の割合は7.38%まで低下しています(出典:日本弁護士連合会)。

中小企業では経営者保証が付いている場合もあるため 、まずは融資契約書で経営者個人の保証が付いているか を確認しておきましょう。

 連帯保証が「会社の倒産」を「社長個人の破産」に変える仕組み

なぜ連帯保証があると社長個人まで破産に巻き込まれるのでしょうか。

それは連帯保証人が通常の保証人と異なり、強い義務を負うからです。

項目 

通常の保証人

連帯保証人

催告の抗弁権

あり

なし

検索の抗弁権

あり

なし

請求への対応

先に主債務者への請求を求められる 

即・全額を請求される

 

連帯保証人には「まず会社に請求してほしい」と主張する権利(催告・検索の抗弁権)がありません。

会社が返済できなくなった場合 、金融機関は社長個人へ全額を請求できます。

これが中小企業で破産連鎖が起こる主な要因です。

連帯保証人は「本人と同じ立場」で請求されると考えるとイメージしやすいですね。

この課題への解決策として、全国銀行協会と日本商工会議所が「経営者保証に関するガイドライン」を策定し、2014年2月から適用されています(出典:中小企業庁)。

連帯保証があっても、必ず自己破産しなければならないわけではありません。

自己破産したら「残せる財産」と「支払い義務が残る債務 」

「自己破産=一文無し」というのは誤解です。

手元に残せる財産(自由財産)がある一方、破産しても支払い義務が残る債務 (非免責債権)も存在します。

区分

具体例

扱い

残せる財産

99万円以下の現金 

手元に残せる

残せる財産

家財道具一式

生活必需品は残せる

支払い義務が残る債務 

税金・社会保険料

返済義務が残る

支払い義務が残る債務

従業員給与・預り金

返済義務が残る

支払い義務が残る債務

養育費・婚姻費用

返済義務が残る

 

免責されない債権(非免責債権)は破産法253条1項に規定されています(出典:e-Gov法令検索)。

税金・社会保険料・従業員給与などは、免責許可が確定しても消えません。

法人破産では特に従業員給与や預り金の扱いが重要な論点になります。

信用情報(ブラックリスト)と官報の最新事情

「いつまでブラックリストに載るのか」は再起の時期判断に直結する疑問です。

信用情報と官報は登録主体も期間も異なるため、混同しないようにしましょう。

項目

信用情報機関

官報

登録主体

CIC等の指定機関

内閣府(電子官報)

掲載内容

破産等の事故情報

破産の公告

期間

免責確認後おおむね5年

発行後原則90日は全体閲覧可

影響

新規借入・カードが困難

一般の閲覧対象

 

CICでは、免責許可決定が確認できた報告日を起点に5年間登録されます。

なお、CICは官報情報を保有していません(出典:株式会社シー・アイ・シー)。

官報は2025年4月1日から電子化され、内閣府の官報発行サイト掲載データが正本となりました(出典:内閣府)。

信用情報の登録が消えれば、再融資への道が開けます。

 この章でわかること 

・信用情報(ブラックリスト)と官報の最新事情

自己破産と経営者保証ガイドラインの比較で最適な選択を判断

破産は唯一の出口ではありません。

連帯保証の整理には、経営者保証に関するガイドライン (GL)という選択肢があります。

両者を比較し、それぞれの違いを確認しましょう 。

比較項目

自己破産

経営者保証ガイドライン

信用情報の登録

される

されない

残せる財産

99万円以下の現金など一定の自由財産 

99万円+100万〜360万円目安

自宅

原則手放す

華美でない自宅は検討可

残債務

免責で消滅

原則免除

要件

免責不許可事由がないこと

早期着手・誠実な情報開示等

 

ガイドラインでは、早期に廃業・再生を決断した場合、自由財産99万円に加え年齢等に応じた生活費を残せる可能性があります(出典:中小企業庁)。

残せる額は個別事情や債権者との協議で変動する目安である点に注意しましょう。

 

会社と社長個人を同時に申し立てるべきケース

連帯保証がある場合、会社と個人の手続きを同時に進めるべきか、時期をずらすべきかが実務上の論点となります。

進め方

メリット

留意点

同時申立

手続きを最短で完了

費用を同時期に準備

個別・時期差

状況に応じ調整可

期間が長期化しやすい

 

連帯保証があるケースでは、会社の破産申立と同時に社長個人も申し立てるのが実務上の定石です。

同一の破産管財人が選任されることが多く、資料も重複するため効率的に進みます。

一方、ガイドラインの活用を検討する場合は、法人破産の手続き終了までに利用の意思表示が必要となるため、早い段階で専門家や対象債権者に相談することが重要です 。

 この章でわかること 

・会社と社長個人を同時に申し立てるべきケース

自己破産・廃業した後も再起業できる、自己破産は経済的な終わりではありません。

資格制限は一時的なものにとどまり、公的な再チャレンジ支援も用意されています。

論点

破産手続中

復権・信用回復後

一部の資格

制限を受ける

復権で回復

新規借入

困難

登録抹消後は可能

会社設立

可能

可能

公的融資

―

再挑戦支援資金あり

 

自己破産による資格制限(警備員・宅建士など一部)は、復権により解消します 。

破産後も会社設立自体は妨げられません。

日本政策金融公庫には「再挑戦支援資金」があり、廃業歴を有する個人や法人の再起を支援しています(出典:株式会社日本政策金融公庫)。

融資条件は個別審査によるため、最新の利用条件を確認しましょう 。

自己破産後も再起業は可能であり、再起業を支援する公的な融資制度もあります 。 公的な再挑戦支援も整っています。

よくある質問(FAQ)

破産後の細かな疑問に、公的情報をもとに簡潔に回答します。

質問

回答

破産後に保証人になれる?

法律上は禁止されていませんが、金融機関等の審査に影響する場合があります。 

家族に返済義務は及ぶ?

家族が保証人でなければ及ばない。

子供の就職・結婚に影響は?

法的な影響は原則ない。

持ち家は必ず失う?

名義・抵当権次第。配偶者単独名義なら守れる場合も。

手元にいくら残せる?

99万円以下の現金など一定の自由財産 

法人破産の期間は?

申立から終結まで半年〜1年程度が目安。

 

自己破産は本人の手続きであり、家族が連帯保証人でない限り返済義務も信用情報の登録も及びません。

「一家離散」といったイメージは誤解にすぎません。

持ち家や自由財産の扱いは個別事情で変わるため、正確な判断には個別の確認が欠かせません。

まとめ:自己破産したらまず「会社と個人」を分けて判断する

自己破産の影響は、会社と社長個人を分けて考えることで正しく見通せます。

要点を再整理します。

要点

結論

会社と個人

法的に別人格

借金は誰が払う

連帯保証がなければ社長は無関係

残せる財産

99万円以下の現金など一定の自由財産 

消えない支払い

税金・従業員給与など

破産以外の選択肢

経営者保証ガイドライン

破産後

再起業は可能。再起業向け融資制度もある 

 

まず着手すべきは、融資契約書で連帯保証の有無を確認し、残債務を洗い出すことです。

破産と経営者保証ガイドラインのどちらが適しているかは個別事情で変わるため、早期に経営革新等支援機関などの専門家へ相談し、適切な手続きを検討 してください。

※本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものです。個別の状況によって最適な手続きは異なりますので、具体的なご相談は弁護士や経営革新等支援機関などの専門家・専門機関にご相談ください。

監修:株式会社FGグルーブ代表取締役 吉野兼司 NPO首都圏事業支援機構 理事 吉野兼司

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