事業再生とは?手法・費用・進め方をわかりやすく解説【2026年新法対応】

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2026.09.25

事業再生

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事業再生とは?手法・費用・進め方をわかりやすく解説【2026年新法対応】

「資金繰りが苦しく、このままでは会社が持たない」——そんな不安を抱えたまま、決断を先延ばしにしていませんか。

事業再生は、経営が悪化した会社を立て直すための正式な手段であり、早く動くほど選べる道は広がります。

本記事では、経営革新等支援機関としての実務知見をもとに、事業再生の基礎から手法、費用、そして2026年施行の新法まで、経営者が知るべき情報を体系的に整理します。

「もう手遅れかも」と感じている方こそ、まず全体像を押さえてほしい内容です。

この記事の結論:事業再生は「早く動く」ほど選択肢が広がる

事業再生でもっとも重要なのは、判断のタイミングです。

資金が枯渇してから相談に来ると、選べる手法が破産や清算に限られてしまいます。

逆に「返済が厳しい」と感じた早い段階なら、私的整理や新法による柔軟な調整が可能です。

東京商工リサーチによれば、2025年度の全国企業倒産は1万505件で、前年度比3.5%増と4年連続で増加しています。

過剰債務・金利上昇・物価高が背景にあり、他人事ではありません。

一方で、中小企業活性化協議会の相談件数は2024年度に8,761件と過去最高を更新しており、早期に公的支援を活用する経営者も増えています(出典:中小企業庁)。

まずは「自社がどの段階にあるか」を把握し、選択肢が残っているうちに専門家へ相談することが、成功への最短ルートです。

 この記事の結論 

・事業再生は「早期着手」で選択肢が大きく変わる

・倒産件数は増加傾向、決して珍しい状況ではない

・無料・秘密厳守の公的相談窓口が全国に整備されている

事業再生とは何か|企業再生との違いと基礎知識

事業再生とは、経営難に陥った会社の債務を整理しながら、収益力のある事業を継続・再建する取り組みを指します。

倒産して会社を消滅させるのではなく、価値のある事業を残すことが目的です。

多くの経営者が「借金が返せない=会社の終わり」と考えがちですが、これは誤解です。

事業再生には法的な手続きから金融機関との話し合いまで幅広い手段があり、経営者が経営に残れるケースも少なくありません。

ここでは、混同されやすい類似用語との違いと、なぜ今この分野の重要性が高まっているのかを整理します。

 

「事業再生」と「企業再生」「倒産」の違い

「事業再生」と「企業再生」はいずれも経営状況が悪化した企業の立て直しを表す言葉として使われます。 

企業再生は会社という組織全体の立て直しを指すのに対し、事業再生は収益性のある「事業そのもの」を残す点に重きがあります。

一方「倒産」は法律用語ではなく、支払いが困難になった状態の総称です。

倒産には再建型と清算型があり、民事再生や会社更生は事業を残す再建型、破産や特別清算は会社を畳む清算型に分類されます。

「倒産=会社消滅・全員解雇」という認識は正確ではありません。再建型を選べば、会社も雇用も存続できます。

この違いを理解することが、冷静な意思決定の第一歩です。

なお民事再生と会社更生の具体的な違いは、後述の「法的整理」の項で整理します。

 ここがまとめ

・事業再生=収益事業を残す取り組み

・倒産は法律用語ではなく状態の総称

・再建型と清算型で結末が大きく異なる

なぜ今、事業再生ニーズが高まっているのか

事業再生の必要性が急速に高まっている背景には、複合的な経済要因があります。

コロナ禍で拡大したゼロゼロ融資の返済が本格化し、過剰債務から抜け出せない企業が増えています。

加えて円安・物価高・金利上昇が経営を圧迫し、東京商工リサーチによれば2025年の物価高倒産は767件と3年連続で過去最多を更新しました。

特徴的なのは、負債1億円未満の小・零細規模の倒産が構成比76.6%を占め、30年間で最高となった点です。

こうした状況を受けて、2022年には全国銀行協会が「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」を策定し、平時・有事の役割を明確化しました。

国も制度整備を進めており、中小企業にとって事業再生は身近な選択肢になっています。

 この章でわかること 

・「事業再生」と「企業再生」「倒産」の違い

・なぜ今、事業再生ニーズが高まっているのか

事業再生の手法一覧|法的整理と私的整理の2分類

事業再生の手法は、大きく「法的整理」と「私的整理」の2つに分類されます。

両者の最大の違いは、裁判所が関与するかどうかです。

法的整理は裁判所の手続きを通じて全債権者を対象に進めるため、透明性が高い反面、手続きが公開され信用低下が避けにくくなります。

私的整理は裁判所を介さず、主に金融機関との交渉で進めるため非公開で信用を保ちやすい一方、原則として債権者全員の同意が必要という高いハードルがあります。

自社の債務規模、債権者数、事業の緊急度によって最適な手法は変わります。

以下の表で全体像を把握してから、個別の手法を確認していきましょう。

分類

主な手法

裁判所関与

対象債権者

信用への影響

法的整理

民事再生・会社更生

あり

全債権者

大きい

私的整理

ADR・特定調停・活性化協議会

なし

金融機関中心

抑えyすい

 

法的整理(民事再生・会社更生)

法的整理の代表が民事再生と会社更生です。

民事再生は中小企業から大企業まで幅広く使われ、原則として経営陣が経営に残ったまま再建を進められる点が特徴です。

従業員の雇用も事業継続を前提とするため原則維持され、給料も通常どおり支払われます。

開始前の未払い給与は「一般優先債権」、開始後の給与は「共益債権」として優先弁済されるため、社員を守れる仕組みが整っています。

一方の会社更生は主に大企業が対象で、管財人が選任され経営陣が退陣するのが原則です。

担保権者も手続きに拘束される点が民事再生との大きな違いです。

「経営者は必ず退陣させられる」という誤解がありますが、これは会社更生の話であり、民事再生では経営陣が残れます。

両者の違いは、対象規模と経営陣の処遇、管財人の有無という3つの観点で整理すると理解しやすいでしょう。

 ここがポイント 

・民事再生は経営陣が残れる再建型

・会社更生は管財人主導で大企業向け

・従業員の雇用と給与は原則守られる

私的整理(ADR・特定調停・活性化協議会)

私的整理は裁判所を通さず、金融機関との協議で債務を調整する手法です。

取引先や商取引には影響を与えず、非公開で進められるため信用を保ちやすい利点があります。

代表的な準則型私的整理には、事業再生ADR、特定調停、中小企業活性化協議会スキーム、中小企業版ガイドラインがあります。

なかでも中小企業活性化協議会は産業競争力強化法に基づき全国47都道府県に設置され、相談は無料・秘密厳守で利用できます。

統括責任者のプロジェクトマネージャーや公認会計士などの士業が対応します(出典:独立行政法人 中小企業基盤整備機構)。

民事再生等を申立て済みの企業は対象外となる点に注意が必要です。

私的整理は債権者全員の同意が必要で、1行でも反対すると成立しません。

この全員同意という制約が、後述する早期事業再生法の登場につながっています。

 この章でわかること 

・法的整理(民事再生・会社更生)

・私的整理(ADR・特定調停・活性化協議会)

【2026年施行】早期事業再生法とは|新しい選択肢を先取り解説

事業再生の分野に、大きな転換をもたらす新法が誕生します。

2025年6月に成立した「早期事業再生法」(正式名称:円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律)が、2026年12月11日に施行されます(出典:経済産業省)。

この法律は、倒産状態に至る前の「経済的に窮境に陥るおそれのある事業者」が利用できる点が最大の特徴です。

従来の私的整理は全員同意が壁でしたが、新法では多数決による債務調整が可能になり、一部の反対で計画が頓挫するリスクを大幅に減らせます。

「早めに動きたい」経営者にとって、まさに待望の制度といえます。

早期事業再生法の3つのポイント

早期事業再生法の要点は3つあります。

第一に、経済産業大臣が指定する第三者機関(指定確認調査機関)が関与し、公正性を担保する点です。

第二に、手続開始時の公示がなく、対象を金融債権に限定できるため、取引先や信用への影響を抑えられます。

第三に、議決権総額の4分の3以上の同意という多数決に加え、裁判所の認可を得ることで計画が成立する点です。

これにより、債権者数が多い案件や同意形成が難しい案件でも再生を進めやすくなります。

手続きの流れは、次の4つの順です。(出典:経済産業省)。

  STEP1.第三者機関による確認・調査

指定確認調査機関が案件を確認・調査し、公正性を担保します。

  STEP2.資産評定に基づく権利変更の確定

資産評定を行い、債権者ごとの権利変更内容を確定させます。

  STEP3.対象債権者集会での4分の3以上の同意

議決権総額の4分の3以上の同意を得ます。

  STEP4.裁判所の認可

裁判所の認可を得ることで、計画が正式に成立します。

従来の事業再生ADRとの使い分けが実務上の焦点となるでしょう。

 

   この章でわかること 

・早期事業再生法の3つのポイント

事業再生の費用と進め方|相談先と必要書類

事業再生を検討する経営者が最も気にするのが「費用」と「手順」です。

「お金がないから再生したいのに、再生費用が払えるのか」という矛盾に戸惑う声は多く聞かれます。

しかし、公的機関の無料相談を起点にすれば、初期費用を抑えながら方針を固められます。

費用は選ぶ手法によって大きく変わり、私的整理か法的整理かで数十万円から数千万円まで幅があります。

また、再生計画の実行段階では補助金の活用余地もあります。

ここでは費用の内訳と目安、そして相談から着手までの流れと必要書類を具体的に解説します。

事前準備を整えることで、相談の質が高まり、スムーズに支援方針を導き出せます。

費用の内訳と目安

事業再生にかかる費用は、主に「専門家報酬」「裁判所への予納金」「補助金でカバーできる部分」に分けられます。

私的整理では弁護士やコンサルタントへの報酬が中心で、法的整理では裁判所への予納金が加わります。

予納金は債務規模により変動し、大規模案件では高額になります。

一方、中小企業活性化協議会への相談は無料であり、初期段階では費用負担を抑えられます。

また、再生計画に伴う設備投資や事業転換には、国や自治体の補助金を活用できる場合があります。

補助金の対象や条件は年度ごとに変わるため、専門家と併せて確認するとよいでしょう。

費用面の不安を放置せず、まずは無料相談で全体像をつかむことが賢明です。

費用項目

私的整理

法的整理

専門家報酬

必要

必要

裁判所予納金

不要

必要(規模で変動)

公的相談

無料(協議会)

―

 

相談の流れと必要な書類

相談から着手までの流れは、おおむね次の4つの順に進みます。

  STEP1.初回相談

公的機関や専門家に現状を相談します。

  STEP2.現状分析

財務状況を精査し、再生可能性を判断します。

 STEP3.再生方針の決定

私的整理・法的整理など、最適な手法を選びます。

 STEP4.計画策定・実行

再生計画を策定し、実行に移します。

多くの経営者が「何を準備すればいいかわからない」と相談自体を先延ばしにしますが、基礎資料が揃わないと具体的な方針は出せません。

最低限必要なのは、決算書(直近3期分)、債権者一覧表、資金繰り表の3点です。

これらがあれば、専門家は財務状況を正確に把握し、再生可能性を判断できます。

加えて、借入金の返済予定表や不動産の資料があると、より精度の高い提案が可能になります。

相談先は、弁護士・税理士・事業再生コンサル・中小企業活性化協議会など複数あり、状況に応じた使い分けが重要です。

まずは手元にある資料を整理することから始めましょう。それだけで相談がぐっとスムーズになります。

 ここがポイント 

・決算書3期分・債権者一覧・資金繰り表が必須

・資料が揃うほど提案の精度が上がる

・相談先は状況に応じて使い分ける

   この章でわかること 

・費用の内訳と目安

・相談の流れと必要な書類

事業再生の注意点|失敗を避けるための重要ポイント

事業再生は経営が悪化した会社の事業や財務を立て直すための手段ですが、進め方や手法の選択によっては、計画どおりに再生できないこともあります 

特に注意したいのが、経営者の個人保証と、減額・免除の対象となる債務についての誤解です。 

また、手法選択を誤ると、私的整理が頓挫して法的整理に追い込まれるケースもあります。

ここでは、経営者がつまずきやすいポイントと、実際の失敗事例から学ぶべき教訓を整理します。

感情に流されず、原則と例外を正しく理解することが、再生成功の重要な鍵となります。

個人保証と「減額できない債務」の誤解

多くの経営者が「会社の借金=自分個人の破産」と思い込み、必要以上に追い詰められています。

原則として株式会社の債務は会社が負う有限責任であり、経営者個人の財産を充てる義務はありません。

ただし、多くのケースで経営者が連帯保証人になっているため、個人に責任が及ぶのが実態です。

この「原則と例外」の理解がつまずきの原因となります。

実は、経営者保証ガイドラインを活用すれば、破産せずに個人資産の一部を残せる可能性があります。

また、減額できる債務にも誤解があります。

銀行融資や取引先への支払いは減額対象ですが、税金や社会保険料の滞納分は原則として全額支払いが必要です。

この区別を知らずに計画を立てると、想定していた返済計画と実際の支払額にずれが生じる可能性があります。 

個人保証の整理は、破産とは異なるアプローチが取れる点を押さえておきましょう。

 ここがポイント 

・会社の債務は原則有限責任、連帯保証が例外

・経営者保証GLで個人資産を残せる可能性

・税金・社会保険料の滞納分は減額不可

手法選択の失敗事例に学ぶ(マレリHDのケース)

手法選択の重要性を示す実例が、自動車部品大手マレリHDのケースです。

同社は2022年3月に事業再生ADRを申請しましたが、海外金融機関の反対により全員同意が得られず不成立となりました。

その後、同年6月に東京地裁へ民事再生法(簡易再生)を申請し、ADRから簡易再生に移行した日本初の実例となりました(出典:東京商工リサーチ)。

負債総額約1兆2,000億円は製造業として過去最大規模でした。

しかし再建は順調に進まず、資金繰りが再び悪化し、2025年6月には米連邦破産法第11条(チャプター11)を申請するに至りました。

私的整理には全員同意という限界があり、債権者構成によっては当初から法的整理を視野に入れる必要があります。

手法の使い分けや撤退ラインの見極めが、再生の成否を左右します。

自社の債権者構成を早期に把握し、複数の手法を比較検討する姿勢が欠かせません。

 ここがポイント 

・ADRは全員同意が壁になり不成立の可能性

・マレリHDはADRから簡易再生に移行

・債権者構成に応じた手法選択が不可欠

   この章でわかること 

・個人保証と「減額できない債務」の誤解

・手法選択の失敗事例に学ぶ(マレリHDのケース)

よくある質問(FAQ)

事業再生に関して経営者からよく寄せられる疑問を、Q&A形式で整理します。

細かな不安を解消し、次の行動へ進むための参考にしてください。

 

Q.事業再生をすると経営者は必ず退陣させられますか。

A.いいえ。民事再生では原則として経営陣が経営に残れます。退陣が原則なのは会社更生です。手法によって処遇が異なるため、事前の確認が重要です。

Q.従業員の雇用や給料はどうなりますか。

A.民事再生は事業継続を前提とするため、原則として雇用は維持され、給料も通常どおり支払われます。未払い給与も優先的に弁済される仕組みがあります。

Q.取引先や銀行にバレずに再生できますか。

A.私的整理であれば非公開で進められ、取引先への影響を抑えられます。法的整理は手続きが公開されるため、信用低下が避けにくくなります。

Q.個人保証があっても自宅を残せますか。

A.経営者保証ガイドラインを活用すれば、一定の範囲で個人資産を残せる可能性があります。華美でない自宅の扱いなど、具体的な範囲は専門家に確認するとよいでしょう。

Q.再生・廃業・M&Aのどれを選ぶべきですか。

A.判断軸は個人保証からの解放と雇用維持です。事業に収益力があれば再生やM&Aが有力で、専門家と早期に方針を固めることをおすすめします。

まとめ:事業再生は「早期相談」が大事な要因

事業再生の成否を分ける最大の要因は、動き出すタイミングです。

資金が枯渇してからでは選べる手段が限られ、破産や清算に追い込まれかねません。

逆に「返済が厳しい」と感じた段階で相談すれば、私的整理や2026年12月施行の早期事業再生法など、柔軟な選択肢が残されています。

倒産件数が4年連続で増加するなか、事業再生は決して特別なものではなく、会社と雇用を守る前向きな経営判断です。

私たちは経営革新等支援機関として、資金調達・M&A・協業・特定技能人材紹介まで一貫して支援し、全国対応で経営者に伴走してきました。

まずは現状を客観的に把握し、選択肢が残っているうちに専門家へ相談することが、再生への確かな第一歩です。

監修者:株式会社FGグループ代表取締役 吉野兼司 NPO首都圏事業支援機構 理事 吉野兼司